■コラム (2006.4月~)
近年の障がい者雇用情勢に対する呟きです。こうあって欲しいとの願いも込めて。
●障がいと働く能力との関係 2008.12.5
先日千葉の幕張で開催されたアビリンピックに足を運んだときのことである。会場内に「国際アビリンピックメダリストにチャレンジ!」というコーナーがあった。昨年静岡で開催された国際アビリンピックデータ入力部門のメダリストに輝いた知的障がい者(日本が金、銀、銅を独占!)とデータ入力のスピードを競うコーナーである。
私は知人の「やってみたら」という口車に乗せられ無謀にも挑戦してしまった。そして見事に砕け散った...
私は10分間で約600文字の文章を打つくらいのスピードである。決して遅いほうではない。しかし彼らのレベルは全く違う。私の想像をはるかに超えていた。私は15分間で11件入力(内2箇所入力ミス)だったのに対し、彼らは23件入力し、しかもミスは1つもない。どちらが企業にとって戦力となるか言うまでもない。
このように障がい者で私より能力の高い人は数限りなくいる。障がい者といっしょに働く職場で、そのように感じている人はひじょうに多いだろう。
障がいの有無にかかわらず誰もが素晴らしい個性や特徴を持っている。その個性や特徴を伸ばせば、人より秀でた能力を開発することは可能ではないだろうか?障がいがあることと働く能力とは別物である、そのことを改めて感じた出来事だった。
●特例子会社とは 2006.8.15
障がい者の雇用が閉塞感を強める中で注目を集めている事柄の一つが【特例子会社設立を通しての雇用率改善】である。
2005年2月末現在認定を受けている特例子会社は全国で160社。
過去の事例を見るまでもなく、法律が見直され法定雇用率に変化が起きる(起きそうになる)そんなタイミングで一斉に特例子会社が誕生してきた歴史がある。
本来”特例的に“認められていたはずの特例子会社が今や障がい者雇用率改善の切り札的な戦略として語られるようになっている。
特例子会社設立には子会社側の要件として一定数以上の障がい者の雇用(5人以上、うち30%以上の重度障害者確保)とか、きめ細かなマネジメント上の配慮、一方の親会社側の責務として役員の派遣や子会社との人的交流、資本面でのサポートなどが要件として掲げられている。
先年の法改正で特例子会社も含め、企業グループで雇用率を管理できるように変更が加えられたことも特例子会社急増の背景にある。
特例子会社の意義と課題についてはまた後日書いてみたい。
●東京労働局の戦略 2006.4.28
全国の障がい者雇用率が低下したことは衆知の事実であるが、その中にあって東京都の障がい者雇用率は例外的に前年比で0.02%上昇し1.35%となった。全国で一番低い雇用率であり改善の余地があるのは当然として、それでも除外率が削減される中での改善は評価されて良い。
隣県の神奈川が0.04%も低下し1.36%と東京と大差がないところまで悪化している事を考えると偶然では語れない取り組みがあったと考えた方がよい。
事実、東京労働局の当事者の鼻息は荒い!
曰く【ローラー作戦が奏功した】
曰く【民間経験者を配した個別指導が効果を発揮した】
などなど、勝てば官軍である。
筆者の見るところ、東京の民間企業雇用率改善の一番の理由は【特例子会社が増えたこと】にその要因があると見たい。昨年だけでも東京都内の企業が設立した特例子会社は20社を超える。特例子会社の設立が親会社の雇用率改善に大きく寄与したことが東京全体の底上げに繋がっている。
●民間企業の雇用率が低下した 2006.4.5
昨年暮れに厚生労働省が発表した民間企業の障がい者雇用率は、前年の水準を0.02%下回る1.46%であることが判明した。
近年、東京都内の未達成企業が9,000社以上も某組織のウエブページ上で紹介されたり、厚生労働省自身も11年ぶりに“努力が見られない”との理由で新聞紙上で1社の努力不足を公表する中での結果であった。企業はそれなりに努力をしておりこれ以上どんな努力をすれば良いのか、という声も聞かれる。
今回の背景には昨年4月に施行された除外率の10%削減が大きく影響していることは間違いない。ダブルカウントベースで10,000人も新規雇用が為されても、除外率が削減されるとこんな結果になるのだということが如実に示されたのが今回の発表であった。
雇用率の低下は何も民間企業だけの傾向ではなく、公的機関も大きく低下させていることを考える時、改めてこれまでとは異なる職域開発や雇用対象の見直しが急がれると考えるのは筆者だけだろうか。

前のページへ
次のページへ