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配慮に関して(その3)

イメージ写真、ロッカー

今回は「業務遂行上の配慮」「その他の配慮」についてお話しします。
前回にも記載しましたが、今回は障がい者が配属された職場で行うものになります。
これも前回述べましたが、おそらくこの二種類の配慮については採用時に明らかになっていないものが多いと思います。
したがって、職場におけるサポート担当者の負担は大きくなりたいへんなのですが、それでも配属された障がい者に深い関心を持って接し、またミーティングを行い、どのような配慮を行うべきかを確認及び実行する必要があります。

述べる順序が逆になりますが、まず「その他の配慮」に関してです。
「その他の配慮」とは、業務や通勤、移動に直接関連しないもので、かつあれば障がい者も周囲も楽になるものを指します。
この配慮は些細なものですが、お互いの関係を良好に保つための大切なものです。

例を上げてみましょう。車椅子を利用する下肢や体幹機能障がい者の例です。
ちょうど現在の季節は冬ですので、障がいの有無にかかわらず誰もがコートを着用していると思います。
皆様は、職場でこのコートを脱いでどちらに掛けているでしょうか?
おそらくロッカーやハンガーラックを利用されていると思います。
さてここで確認ですが、このロッカーやハンガーラックの高さは車椅子利用者にとって適切な高さになっているでしょうか?
適切な高さであれば、行き届いた配慮のある職場ですので全く問題ありません。

ではそうでない場合、どのように対処しているのでしょうか?
考えられる方法としては、

  • 車椅子利用者が出社時に周囲に頼んで掛けてもらう
  • 本人が車椅子にそのまま掛ける

があります。
後者の方法は、健常者も同様にしているのであれば構いませんが、そうでないなら差別と受けとられかねない問題のある方法です。
そこで多くは前者の方法を採っていると思います。
しかし実はこの方法にも実は問題が内在していると筆者は考えています。

イメージ写真、男性社員

車椅子利用者が出社した時の様子をイメージしてみましょう。
出社した際に誰かいれば別ですが、いない場合には本人が誰かに声をかけることになります。
声をかける相手は誰でしょうか?
サポート担当者と決まっていればその方に、そうでなければ本人にとって声をかけやすい方になるのでしょう。

それでは次に声を掛けられる側をイメージしてみましょう。
おそらく最初の頃は快くコートを掛けると思います。基本的に人間は良い性質を持っているからです。
しかしこれが毎日続くと気持ちが次第に変化していくことがあり得ます。
いつも自分がやらなければならないのかと思うと、コートを掛けることすら面倒になってくるのです。特に忙しい時はそうなりがちです。
そうなると気持ちが伴いませんから、義務的にコートを掛けるだけでぞんざいな態度になる場合もあります。

このような状況を見て、周囲は車椅子利用者にもっと優しくするように指摘することがあるかもしれません。
しかしこの指摘は決して良いとは言えないのです。
指摘を受けた本人も内心ではいけない態度だとわかっているものの「なぜ自分だけが…」という不満がたまっている状況です。
人によっては反発する恐れがあります。反発が指摘した相手に向かうのであればまだ良いのですが、それが車椅子利用者に向かう可能性も考えられます。

筆者は、「配慮」とは障がい者本人だけではなく、周囲もその配慮によってサポートが軽減されるものでなければならないと考えています。

上記の例も、車椅子利用者にとって自力でコートが掛けられる適切な高さの設備があるだけで本人も周囲にも問題は生じなくなります。

イメージ写真、握手する男性

車椅子利用者を雇用しているまたは今後の採用を検討している企業の皆様、車椅子利用者の目線に立って、いま一度職場を眺めてみませんか?
ハード面や業務上の配慮にも重なりますが、会議室やトイレのドア、書類棚、コピー機、FAX等、実際に車椅子に乗った状態で開閉や操作が可能か再点検すると、車椅子利用者はきっと「この職場に入ってよかった」と心から感じるでしょう。
全てを満たすことができなくても差し支えありません。予算がかかり過ぎたりテナントによっては造作が難しい場合もあります。その際にはありのまま話しましょう。
本人に関心を持ち本人の立場に立って考える姿勢は、必ず伝わります。
配慮が実現するかしないかではなく、配慮について真剣に考える姿勢こそが本当の意味での配慮であり、それによってWin-Winの関係を築くことができるのだと思います。