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配慮に関して(その2)

イメージ写真、女性社員

前回に述べました「ハード面の配慮」「制度上の配慮」は、障がい者本人が書類や面接の際に記載したり自ら話す方が多いと思います。
したがって人事部門の働きかけにより実現できる範囲のものです。
一方、これから述べる「業務遂行上の配慮」「その他の配慮」は、障がい者本人も話さないことが多く、本人が話さなければ当然人事部門もその配慮に関して知らないケースが多く見られます。
実はこのことが入社後に雇用管理上のネックとなる恐れのある最初のポイントだと筆者は考えています。
どうしてそう考えるか?を以下に記載します。

入社後、最もたいへんな思いをするのは障がい者本人に相違ありませんが、同様に障がい者が配属された部署において業務指示やサポートを行う担当者もたいへん苦労します。
この担当者が配属された障がい者の障がい内容に理解があれば問題は少ないのですが、一般企業において(特例子会社は異なりますが)はそもそも普段から障がい者に接することのない担当者に理解していることを求める方が酷なことです。
担当者にとっては採用時に得られた情報から伝達される「配慮」が唯一の助けです。
この「配慮」を手掛かりにして担当者は業務指示やサポートを行います。
しかし、この伝達された「配慮」が不十分だと、誤った業務指示やサポートを行うことにつながりかねません。
「配慮」が不十分であれば、働き始めた障がい者は少なからず不満を抱きます。
また「配慮」が不十分なため、業務パフォーマンスも決して良いとは言えない場合があります。
そうすると担当者は「十分な「配慮」を行っているはずなのにどうして?」と、こちらもいう疑問を抱きます。
疑問を抱いときにすぐミーティングを開いて解決の道を探る担当者であるなら、素晴らしい担当者です。
障がい者雇用の好事例企業には必ずこのような担当者がいます。
筆者はこのような素晴らしい担当者によって、障がい者雇用が支えられていると思っています。

イメージ写真、悩む男性社員

ただし、担当者が常にこのような俊敏かつ熱心な行動をするとは限りません。
雇用管理の項に入った際に詳しく述べたいと思いますが、担当者も多忙でそこまで手が回らないケースもあります。
このような場合、ミーティングを行う暇もありませんから、事態は何ら変わりません。

事態が変わらなければ、担当者は抱いた疑問がそのうち不満に変化していきます。
次第に担当者は障がい者にそっけない態度を取るようになり、障がい者も不満が次第に溜まり、両者の信頼関係は完全に崩れていきます。

こうして、せっかく採用した人材がその力量を十分に発揮することなく退職につながっていく残念なケースが見られます。
しかも両者に負の遺産だけが残ります。
障がい者が配属された部署は以後障がい者の配属に拒否反応を示し、障がい者は企業の嫌な側面だけが脳裏に刻み込まれます。
お互いにとってひじょうに不幸なことだとしか言いようがありません。

イメージ写真、テントウムシ

ここまで読まれ、「配慮」について採用前にできる限りしっかり確認をすることがどれだけ重要か、企業の採用担当者には多少は理解いただけたと思います。
これは障がい者にも言えることです。
「配慮」についてしっかり話しておくことが、いかに自分の身を守るか、周囲の理解も得られやすいか、自分の力量を発揮できるか、を認識する必要があります。
厳しいことを書きますが、その認識なしに「企業は冷たい」と思うのは一方的な見方だろうと思います。
そして、筆者を含め障がい者を支援する側の支援機関については言うまでもありません。
専門的な立場から本人に必要な「配慮」を正しく見極め、企業に正しく伝えることが求められていることを常に肝に銘じていなくてはなりません。

ただし、そうはいっても必要な「配慮」をすべて入社前に話した場合、採用をためらうことにつながらないだろうか?と思う方もいると思います。
至極もっともな懸念です。
これについては、この「配慮に関して」の項の最後に私の考えを記載したいと思います。

重要なポイントであるだけに、少し前置きが長くなりました。
「業務遂行上の配慮」「その他の配慮」の具体的な内容については、次回記載したいと思います。