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障がい者採用における留意点(その2)

イメージ写真、仕事中の2人のサラリーマン

筆者は、全盲の方と数年間いっしょに仕事を行ったことがあります。
この方(仮にAさんとします)の主な業務は人事採用業務と障がい者雇用管理業務でした。
筆者より一回りは若い方ですが、人を見る感性の鋭さ、ご自身も障がいを持つ身だからこその障がい者に対する温かさと厳しさがバランスよく同居し、同僚や部下から慕われた方でした。
まさに人事向き、採用担当向きの資質を持った方といえます。

おそらく皆さんはAさんが日々の業務をどのようにこなしていたのかについて関心があると思います。
かいつまんで話しますと、日常の報連相はメールまたは口頭で行います。メールは音声読み上げソフトを使用して確認し、返信も読み上げソフトを使用して作成し送信します。Excel等による資料作成も同様に読み上げソフトを使用します。
私はAさんと一緒に仕事をして助けてもらったことは多々覚えていますが、困ったことはほとんど記憶にありません。

正確に言えば、Aさんは事務処理能力が多少遅いきらいはありました。
Aさんは中途障がい者です。
先天性の全盲である視覚障がい者ほど音声読み上げソフトに慣れていたわけではありませんし、キーボードタッチも特別早いわけではありません。
そのため毎日100通を超える受信メールの中に筆者が送信したメールが埋もれてしまうことはありました。
でも筆者はできるだけ余裕を持ってメールを送るようにしていましたので、たいていリマインドメールを送るか「そろそろ読んでくださいね」の一言で解決する程度の問題でした。

振返って考えると、筆者も同僚もAさんからの要望もあり多少の工夫はしました。

メールに関しては、

  • 要点だけを簡潔に記載
  • メール本文の最後尾には必ず「以上」と入れる
  • 漢字はできるだけ少なくする
  • 返信期限に余裕を持たせてメールを送る
  • Excel表には空白行及び空白列を作らない

等です。
これはAさんの事務処理にかかっている無駄な時間を少しでも減らすためです。
本人にとっても周囲にとっても事務処理スピードが上がるのは望ましいことです。
またこのようなちょっとした工夫であれば、工夫をする側にとっても過度な負担となりません。

その他にも、

  • 会議の前日までに会議資料をデータで渡す
  • 会社入口~部屋の入口、座席~トイレのような社内でよく利用する導線には一人で行けるよう点字ブロックを配置する
  • 数十室ある会議室などその他の場所には同僚がエスコートする

等を行いました。

全盲の方を雇用している企業では、もっとさまざまな工夫がなされていると思います。
本人の努力も必要ですが、このような工夫により全盲の視覚障がい者の業務パフォーマンスを上げることは十分に可能です。

次回は、さらに別の角度から考察を加えてみたいと思います。