トップに戻る

障がい者採用における留意点

障がい者採用と一般採用の異なる点は何でしょうか?
私は、文字通り障がいの有無のみだと思います。
したがって私が企業の人事担当者より「障がい者採用の際に気を付けるポイントは何でしょうか?」という相談をお受けした場合には、

  1. 障がいに関しては詳しく話を聞いてください。
  2. その他については一般採用と同様に行ってください。

とお話ししています。

障がいに関しては、できるだけ多くの情報を聞き出すことが必要です。これについては長くなりますので別稿で詳しく述べたいと思います。
上記2番目の「同様に」の意味は、前回のコラムの中でも記した通り、戦力となる人材であるかどうかということです。
今回は、戦力となる人材に関して、さらに詳細に掘り下げて考察します。
以前、戦力となる人材の定義の一つとして、担当業務をこなす能力があるか、と記しました。
この担当業務ですが、求人の中で最も多い職種は事務職です。
おそらく求人全体の約2/3は占めているものと思われます。
そこで、この事務職に焦点を当てて考えてみましょう。

まず、事務職に求められるスキルや資質にはどのようなものがあるのでしょうか?

  • 人事、経理、営業、物流・生産管理等特定分野の専門的スキル
  • ITスキルを駆使した資料作成能力
  • 指示者の意図を正確に理解する能力
  • 複数の仕事を段取りよくこなすことのできる能力
  • 難易度の高いor未経験or急な仕事等でもできないと言わずに取り組む姿勢

細かいものまで上げるときりがありませんが、代表的なものとしては上記のものが上げられると思います。

イメージ写真、握手するビジネスマン

次に、これらのスキルや資質に個人差はあるのでしょうか?
筆者はもちろんあると考えますし、皆様も同意見だと思います。
例えば、優秀な営業マンが事務処理能力も優秀であるとは限りません。
筆者のそばにもいましたが、毎月トップクラスの契約を取ってくる営業マンの中には資料作成に時間がかかるし誤字脱字もある、交通費の精算はずぼらで数か月分まとめて行うような方がいます。逆もまた然りです。
どのような業務でも標準的にそつなくこなす社員は見かけることがあっても、何をやらせても抜群の成果を上げることのできるスーパー社員はそうそう存在するものではないのが現実です。

筆者は事務職、営業職、製造職とさまざまな職種を経験しました。
たいていの業務はおもしろくやりがいを感じましたが、どうしても好きになることができない業務もありました。
優秀な上司に恵まれ表面上は何とかこなしましたが、途中で自分にはどうも向いていないとその業務のスキル向上をあきらめ、別のスキルを磨きその業務から離れました。

自分の例を取ってみてもそうですが、そもそも人間は不完全なものであり、一人の人間が保有する能力にはけっこう凸凹があるものです。
これは健常者でも障がい者でも変わりはありません。
障がいがあってもなくても得手不得手やできることできないことは現に存在するわけですから、私たちは「○○に障がいがあるのだから、この業務はおそらく無理だろう」というような先入観を持たず、目の前にいる応募者をフラットの状態で接し、スキルや資質を客観的に把握する必要があるだろうと思います。

イメージ写真、包帯している手

再び例え話になりますが、健常者である同僚が突然の事故や病気により受傷したとします。
この同僚と受傷後に話しをしてみて、先に5つほど記述したような事務職における能力やスキルが衰えたと感じることはあるでしょうか?
脳に著しい損傷を負ったごくわずかな場合を除き、大半のケースでは感じないと思います。
受傷により専門的スキルや業務に取り組む姿勢や態度が消失することはありません。
手の指先等を受傷した場合には、資料作成のスピードは確かに落ちるでしょうが、資料の質まで落ちるわけではありません。
このことは受傷により能力やスキルに変化が生じているわけではなく、単に健常者と同じ環境では以前と同等の力量を発揮できないだけであり、環境の工夫により100%とは言わないまでも相当の力量を発揮できる可能性が残されているということを表していると思います。

筆者もつい先入観で判断してしまうことがありますので常に自戒していますが、正しい知識によらず誤った先入観や自分の価値観で人を測ることは、企業にとってせっかくの採用のチャンスを逃すことにもつながりかねません。
次回では、具体的事例を交えながら考察を加えてみたいと思います。