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障がい者雇用が経営効率を高めたケース

1.障がい者雇用推進の悩み

2018年の精神障がい者雇用義務化を見据え、多くの企業が動き出しました。以前では考えられなかったことです。一方で、雇用を進める過程でこれまた多くの企業の悩む共通の課題があります。

  • ①任せる仕事がない、イメージがわかない
  • ②受け入れ環境が整備できていない
  • ③障がい者に会社の仕事が担えるとは思えない

これらは以前から語られ続けてきたこと。これらの言葉は以前から多くの人事マンが口にする言葉ですが、本当なのでしょうか。

2.事例紹介

イメージ写真、ペンを持つ手

実際に有った事例をご紹介します。
地域で高齢者介護ビジネスを営む企業から障がい者雇用の相談がありました。6か所施設を有し介護ビジネスを営む同社の従業員は100名を超えていることから、雇用が急がれたのです。相談の内容は≪障がい者雇用を急ぎたいが、どのような仕事を担当してもらえばよいかがわからない≫ということでした。ところが話を進める過程で同社には障がい者雇用以前に、もっと深刻な課題があることが見えてきました。高齢者を支えるスタッフの離職の問題です。仕事に意義を感じて応募されてきた専門職のみなさん。ところが現実には様々な業務を並行して行わざるを得ず時間が無いという悩みでした。
当初は理想の夢を描いていたはずの専門スタッフが業務に忙殺され意欲が低下、中には転職を考えるスタッフが出始めていたのです。人財が唯一の資産の同社にあってスタッフのモチベーション低下は経営的にはピンチであった訳です。

3.まずは洗い出す作業から

まずは一日・一週間の仕事の全てを洗い出す作業を始めました。
①職員からのヒアリング ②業務日誌等帳票類の精査 ③作業のボリュームと必要とされる時間調査
これらのデータを集めてみました。同社で日常行われている作業は

  • ①利用者との面談と健康管理
  • ②記録ノートへの記帳・保管
  • ③散歩・買い物同行
  • ④清掃
  • ⑤洗濯
  • ⑥食事提供
  • ⑦その他

ですが、これらの仕事の全てを専門スタッフが交代勤務で行っていたわけです。これらの仕事はすべて必要な業務。しかしケアサポートのスタッフでなければいけないというわけではありません。③~⑥は遂行できる方がいれば任せられ、その分一番重要な①及び②に十分な時間が割けます。この分析により

  • 専門スタッフが専任すべき業務
  • 他者に振り分けるべき業務

を洗い出すことに成功しました。ここまで準備が整えばあとは簡単。③~⑥を担える障がい者人材を募集すれば良いわけです。
採用活動を通じて、在宅で食事メニューの提供を行ってくれる身体障害者と掃除・洗濯を担ってくれる知的障がい者が採用され、介護スタッフは安心して高齢者に向き合う時間が確保できました。

4.なんだ、そんなことか!

以上が実際に有った事例ですが≪なんだ、そんなことか!≫と読まれたみなさん思われるでしょう。そうなのです。整理すれば仕事はいくらでもある。雑多な業務に振りまわされ仕事の見直しをする時間が持てなかったこの会社の職員が仕事を振り返る良い機会が得られたのです。そして何よりの成果は専門スタッフがゆとりを持って利用者と向き合えたことで利用者へのサービスが向上。利用者の満足度が画期的に改善されたのです。
障害者雇用を通して経営の効率を高めたこの事例をぜひ読者の皆様も参考にしていただければ幸いです。